スワップポイントで注目されるトルコリラ!リスクを抑えて利益が出せるの?
近年、NISAやiDeCoなどの制度が整いつつあり、投資によって資産形成を行うことが当たり前になってきています。貯蓄から投資への動きが強まり、NISAやiDeCo以外の投資手法を検討する方も少なくないでしょう。
中・上級者向けの投資としてFX取引があります。ハイリスク・ハイリターンのFX取引ですが、そのうち「スワップポイント」という手法なら、リスクが少ないと聞いているかもしれません。本当にスワップポイントはリスクが小さいのか。また、利益が出る場合はどの程度リターンが見込めるのでしょうか。金利の高いトルコリラのケースでご紹介します。
スワップポイントはFX取引のひとつ
スワップポイントの特徴
FXでは「売った外貨」の利子を支払い、「買った外貨」の利子は受け取ります。この金利差がスワップポイントです。なお、金利差によっては支払うケースもあります。
・毎日受け取れる
長期保有しながら、コツコツ稼ぐことか可能です。
為替益を狙って売却することを目的としていないので、細かく為替を追う必要がなく、会社員の方でも運用しやすいです(ロールオーバーについては後述)。
スワップポイントの仕組み
例えばドル円通貨ペアの場合、米ドルを買って円を売ることになるので、米ドル金利を受け取り、円金利を支払います。
円は低金利なので、円を基軸通貨にすれば受け取れる通貨が多いです。2024年4月現在、マイナス金利が解除されたことが気になる方もいるかもしれません。しかし、マイナス金利が解除されたとはいえ、依然円は金利が低いので、円を売る場合は多くのケースで金利を受け取れると考えていいでしょう。
また、米ドル・円といった通貨の金利が動けばその金利差も変動するので、日々付与されるスワップポイントも変動していきます。通貨を発行している国・地域の政府が定めた金利をもとにして、各FX会社が通貨ペアごとにスワップポイントを決定します。
スワップポイントのメリットや注意点
スワップポイントのメリットであるロールオーバーとは
ロールオーバーとは日をまたいで通貨ペアを保有することで、「日をまたぐ=ポジションが繰り延べられる」と考えてもいいでしょう。
スワップポイントは土日の区別もなく、毎日付与されるのが原則です。ただし、実際の受渡は通常、取引の「2営業日後」です。
また、土日や祝日などは受け渡し日が繰り延べられます。例えば通貨ペアを水曜から木曜日にロールオーバーした場合、原則受け渡しは「月曜日」です。祝日があるとさらに受渡がずれることになります。
つまり、複数日分がまとめて付与される日もあれば、逆に付与されない日もあるということです。スワップポイントが付与される日数が気になる場合は、FX会社のホームページで確認することが可能です。
スワップポイントを受け取ることができる局面ではロールオーバーによって毎日受取額が積みあがっていきます。しかし、スワップポイントを支払う局面では支払額が積みあがっていく点に注意します。
トルコリラでの受取例
2018年7月9日を実績とすると、10万通貨あたりのトルコリラ/円のスワップポイントは「830円/日」でした。このスワップポイントを一定期間継続して受け取った場合の合計額は以下のとおりです。
・1カ月後(30日) 24,900円
・6カ月後(180日) 149,400円
・1年後(360日) 298,800円
※必要証拠金(準備する最低資金):480,000円
※レバレッジ倍率:5倍
もし他の条件は同じで、通貨を「1万通貨」とした場合は1カ月後(30日)に「2,490円」、6カ月後(180日)で「14,940円」、1年後(360日)で「29,880円」になる計算です。
参考 楽天銀行「スワップポイントでコツコツ貯める!」
上記はレバレッジを5倍に設定しています。レバレッジは最大25倍まで設定できますが、高レバレッジでは損失も大きくなるので注意します。
スワップポイントの注意点
1.ロスカット(強制決済)となることがある
ロスカットとは、証拠金維持率(※)が一定以下の数値になった場合に、強制的に決済される仕組みです。相場が乱高下したときに想定外のレートでロスカットされることで、大きく損が出る可能性があります。
※証拠金維持率は「有効証拠金÷必要証拠金×100」から導き出されるもので、この割合が一定以下(※)になるとロスカット(強制決済)となる
ロスカット実行の基準はFX会社ごとに異なり、例えば「証拠金維持率が50%を切った時」のように設定されています。
また、「有効証拠金」は含み損を反映した実際に取引に使える金額なので、為替レートが動けば金額が変わります。一時的な為替レートの変動によって含み損が大きくなり、自身の意思とは関係なくロスカットされてしまう可能性があります。コツコツ貯めたスワップポイントがロスカット時の為替損で吹き飛んでしまうかもしれません。
2.売りから入る際は支払いが生じることが多くなる
金利の高い通貨の「買いポジション」を持っていることでスワップポイントを受け取り続けることができます。しかし、高金利通貨の「売りポジション」を持っている場合は、ロールオーバーの度にスワップポイントを支払うことになります。受取時にはメリットであったロールオーバーがデメリットに働くケースです。
例えば2024年4月現在は対米ドルに対して円安が進んでいますが、このあと円高に振れると予想して「(円を売って)ドルを買う」ような取引が考えられます。このような取引で為替が思った方向に進まない場合、スワップポイントの支払いと為替損、ダブルの損失が出てしまいます。
3.課税対象である
為替差益を含むFXのスワップポイントは「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税税率20%(所得税15%、住民税5%)がかかります。ロールオーバーによって付与されたタイミングではなく、決済して実際に受け取ったタイミングで課税対象となります(個人の場合)。
給与所得者の場合、原則として給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
確定申告は毎年申告時期が決まっています。申告時期を過ぎるとペナルティとして無申告加算税や延滞税が課せられますので、事前に準備しておかなければなりません。
スワップポイントは初心者向け?
為替変動を細かく確認したり、通貨の未来を予測したりといった テクニカル分析はあまり必要とされません。長期保有を前提にコツコツ稼ぐことが可能という点からは、初心者向けといっていいでしょう。
しかし、既述のようにロスカットのリスクがあることや、金利差やポジションによってはスワップポイントを支払うことがある、といった注意点もあります。そのため、大きな材料は常に把握し、必要があれば損切りも行わなければなりません。それらの対応が苦にならない方に向いている取引といっていいでしょう。
NISAのような長期保有はおすすめ?
保有通貨において利下げや為替変動リスクがあると感じたら、すぐに資金を回収できるようにしておくことが求められます。
FX会社選びも重要
初心者にとってFXの専門用語や取引画面は簡単なものではありません。可能な限り分かりやすくて、操作しやすいFX会社を選択します。FAQや問い合わせ対応が充実しているかもチェックしましょう。
なお、金融商品取引法では、顧客の資産は、証券会社固有の資産と分けて管理することが義務付けられています。これを「顧客資産の分別管理」といいますが、多くの証券会社では対応している旨や、万が一会社が破綻した際の対応などについて明記しています。念のため確認しておくことをおすすめします。
トルコリラの特徴と注意点
近年では、2018年6月の選挙に勝利した事でエルドアン大統領に権力が集中したことで米国との関係が悪化し、通貨が不安定になりました。選挙があると為替がたびたび変動しています。政治に大きな材料が生じると、一気にリラ安が進む可能性があることに注意します。
リラが不安定になる要因のひとつとして、経済的に海外からの資金流入に頼る状態であることが挙げられます。そのためFXでトルコリラの取引をする際は、トルコの政治経済面の情報もしっかりと確認することが重要です。
まとめ スワップポイントをはじめるときはメリットとリスクを知ることが重要
期待するリターンを得るためにとれるリスクの上限は人によって異なります。ご自身で期待できるリターンとリスクを天秤にかけて、よりよい決断をしていきましょう。
横山晴美(AFP技能士)
横山晴美(AFP技能士)
マネー系・ITに強いライターとして2013年からWEB記事の執筆・編集に携わる。「分かりやすく」「誰のための記事なのか」を見極めることで、精度の高い記事を作成。需要に応じた記事を短期間で書く技術で、年間100本以上の記事に関わる。 AFP/ライフプラン応援事務所 代表 https://gogokakei.com/
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