変動金利の住宅ローン!金利上昇でどのくらい返済額が増える?
住宅ローンの変動金利は固定金利よりも金利水準は低い一方で、金利上昇リスクがあります。ここ数年、金利水準は低く抑えられていましたが、2024年3月には2016年から続いていたマイナス金利政策が解除されました。それにともない変動金利の適用金利が上がる可能性が出てきました。
「超低金利時代」の終焉が予測されるなかで、変動金利の住宅ローンを返済している方は今後の返済額について不安を感じてるかもしれません。
具体的な額を確認して返済に備えられるよう、複数のパターンで金利上昇時の返済額の変化を紹介します。
変動金利で返済してるのは7割
※固定期間終了時点の金利水準で金利が再設定されるため、金利変動の影響を受ける。詳細は後述
具体的にどの程度金利が違うのか紹介します。
・変動金利
メガバンクは「0.3~0.4%」程度
・全期間固定金利(フラット35)
融資割合9割超の金利水準は「1.93%」
(銀行ごとに金利が異なるので、最も多い金利を記載)
※金利水準は2024年4月時点
変動金利の仕組み
・5年ルール
金利が上昇した場合でも、それが毎月返済額へ反映されるのは6年目からとするルール
5年間は返済額が据え置かれるが、金利上昇は適用されている。増えた利息が免除されるわけではないことに注意
・125%ルール
返済額が増える場合の上限割合を定めたもの
従前と比較して返済額の増加割合は「125%まで」に据え置かれる
しかしそれによって利息の返済額が大半を占め、元本が減らなくなってしまうこともあるので注意
※多くの銀行が上記のルールを適用しているが、例外もある
固定期間選択型の仕組み
固定金利期間が終了したら、その時点の金利水準で新たな金利を決定します。金利タイプは変動金利に切り替わるケースもあれば、再度固定期間を選択できるケースもあります。
なお、固定期間選択型は前述の125%ルールの適用外です。新たに金利を決定する際に金利が上がっていると、想定以上に返済額が増える可能性があるので注意が必要です。
金利ごとのシミュレーション
また、固定金利への乗り換え(もしくは新規で固定金利の借り入れ)を検討している方向けに、固定金利のシミュレーションもご紹介します。
変動金利のシミュレーション
適用金利「0.5%」「1%」「1.5%」
借入額「1,000万円」「2,000万円」「3,000万円」
※以下、住宅金融支援機構のシミュレーションサイトを利用して筆者作成(以下同様)
※単位は全て円。また、シミュレーション結果はあくまで目安です
【表1】
借入額 | 1,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
毎月返済額 | 25,958 | 51,917 | 77,875 |
年間返済額 | 311,496 | 623,004 | 934,500 |
【表2】
※【表1】の年間返済額と比較して、返済額がいくら増えるか(同額の借入金額で比較)
借入額 | 1,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
毎月返済額 | 28,228 | 56,457 | 84,685 |
年間返済額 | 338,736 | 677,484 | 1,016,220 |
0.5%との差額(年額)※ | 27,240 | 54,480 | 81,720 |
【表3】
※【表1】の年間返済額と比較して、返済額がいくら増えるか(同額の借入金額で比較)
借入額 | 1,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
毎月返済額 | 30,618 | 61,236 | 91,855 |
年間返済額 | 367,416 | 734,832 | 1,102,260 |
0.5%との差額(年額)※ | 55,920 | 111,828 | 167,760 |
これにより、金利が上がった場合でも借入額を抑えることや繰上返済によって毎月の負担を抑えらえることが分かります。
固定金利のシミュレーション
適用金利「2%」「2.5%」
借入額「1,000万円」「2,000万円」「3,000万円」
固定金利2.0%
【表4】
※【表3】の年間返済額と比較して、返済額がいくら増えるか(同額の借入金額で比較)
借入額 | 1,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
毎月返済額 | 33,126 | 66,252 | 99,378 |
年間返済額 | 397,512 | 795,024 | 1,192,536 |
1.5%との差額(年額)※ | 30,096 | 60,192 | 90,276 |
【表5】
※【表4】の年間返済額と比較して、返済額がいくら増えるか(同額の借入金額で比較)
借入額 | 1,000万円 | 2,000万円 | 3,000万円 |
毎月返済額 | 35,749 | 71,499 | 107,248 |
年間返済額 | 428,988 | 857,988 | 1,286,976 |
2%との差額(年額)※ | 31,476 | 62,964 | 94,440 |
【借入金額が1,000万円の場合】
年間返済額の差額 約11.7万円
【借入金額が2,000万円の場合】
年間返済額の差額 約23.4万円
【借入金額が3,000万円の場合】
年間返済額の差額 約35.2万円
なお、新規借入でペアローンを組むケースであれば、夫婦で変動金利と固定金利に分けて借り入れる方法もあります。
変動金利の見通し
また、日銀は急激な金利上昇は望んでいない意向をしめしていることから、上昇する場合も短期間で大きくすることは考えにくいです。
さらに、マイナス金利が解除されたのには、賃金上昇の兆しが見えた背景もあります。物価と賃金が同時に上昇するのであれば、経済が活性化され、収入が増える可能性も高まります。
変動金利で住宅ローンを返済していくうえで大切なのは、金利の動きに敏感になることです。そして都度「今後返済額が増えそうか/減りそうか」を意識しながら返済計画を微調整していくことです。
返済が苦しくなりそうなことが事前に分かれば、家計を見直すことや、繰上返済を検討するなどの対応がとれます。また、返済がどうしても苦しいときは、早い段階で借入先の銀行に相談することもできるでしょう。
まとめ 返済額を見える化して金利上昇に備えよう
横山晴美(AFP技能士)
横山晴美(AFP技能士)
マネー系・ITに強いライターとして2013年からWEB記事の執筆・編集に携わる。「分かりやすく」「誰のための記事なのか」を見極めることで、精度の高い記事を作成。需要に応じた記事を短期間で書く技術で、年間100本以上の記事に関わる。 AFP/ライフプラン応援事務所 代表 https://gogokakei.com/
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