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転職直後でも住宅ローンを組める?ローンを組むなら転職前後どっち?メリット・デメリットを紹介

横山晴美(ヨコヤマハルミ)

横山晴美(ヨコヤマハルミ)

転職直後でも住宅ローンを組める?ローンを組むなら転職前後どっち?メリット・デメリットを紹介

目次

マイホーム購入時には、住宅ローンを利用する方がほとんどです。

そのなかで「転職は住宅ローン審査において不利である」と聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし、たまたま転職したい時期と住宅購入のタイミングが被ってしまうこともあるでしょう。

ここでは、転職と住宅購入を具体的に考えている方向けに、転職が住宅ローン審査へおよぼす影響や転職直後でも住宅ローンが組めるのかどうかについて解説します。また、転職前と転職後に住宅ローンを組んだ時のメリット・デメリットをそれぞれ紹介していきます。

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転職が住宅ローン審査へおよぼす影響

住宅ローンの審査前に転職すると、住宅ローン審査において不利になると言われています。結論から言うと、必ずしも住宅ローン審査が通らないわけではありません。とはいえ、住宅ローン審査において、転職はマイナス材料になる可能性が高いのも事実です。

転職が住宅ローン審査において不利になる具体的な理由は次のとおりです。
・多くの銀行において勤続年数は住宅ローン審査の審査項目
国土交通省の報告書によると、「勤続年数」を審査項目としている金融機関は93.2%です。通常、勤続年数が長いほうが評価は高くなります。

・申し込み条件に勤続年数が設定されていることも
申込条件として「勤続年数〇年以上」と設定している金融機関においては、転職直後では申し込み資格を有しません。
ただし、同じ「勤続年数〇年以上」でも金融機関ごとに基準は異なります「3年以上」と長めの基準を設けている場合もあれば、「1年以上」と比較的短期間の場合もあります。そのため、申し込み条件は個別に確認します。

・転職は年収にも影響を与えることに注意
同上の国土交通省の報告書によると、「年収」を審査項目としている金融機関も92.9%です。転職によって仮に一時的でも収入が下がる場合は、評価が厳しくなります。
※参照:国土交通省 令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(PDF)

また、頻繁に転職している場合は、収入の安定性も危ないとみなされる可能性がある点にも注意しましょう。

では、収入がアップする場合の転職ならば問題ないのでしょうか。残念ながら、そうとは言い切れません。例えば2カ月前に転職し、2カ月の月収がアップしたとしても、年間収入がアップするかどうかはわかりません。例えば、まだもらっていないボーナスは、審査上加味されない可能性があります。

最終判断は金融機関によりますが「転職で収入アップが見込めるから問題ない」のように考えるのは危険です。

転職前に住宅ローン審査に臨むメリット・デメリット

転職と住宅購入のタイミングが被ってしまった際には、転職の前に住宅ローン審査を行う選択と、転職後に住宅ローン審査を行う選択があります。

まずは転職前に住宅ローン審査に申し込むケースから、メリットとデメリットを確認します。

転職前に住宅ローンを組むメリット

大きなメリットが、転職後よりも審査が有利な点です。従前の勤続年数で審査に申し込めるので、審査が通りやすいといえます。

また、住宅ローンを組んだ後に転職活動をする場合、審査を気にせず転職活動が可能です。

転職前に住宅ローンを組むデメリット

住宅ローンの借入額や返済額が確定した後に転職しなければならない点がデメリットです。前職での収入を基に住宅ローンを組んでいますので、転職活動の結果によっては家計が苦しくなるリスクがあります。

通常は、収入アップや勤務条件改善のために転職するでしょうが、思うように収入が挙がらない場合がある点を考慮しておくべきでしょう。
転職によって、審査時と勤務状態が変わってしまうことになります。そのため、住宅ローンを返済中に自由な転職活動が可能なのか、疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし、住宅ローン返済中の転職が制限されることはありません。

ただし、次の注意点があります。

住宅ローン審査が通った後の転職は自由?3つのポイントに注意

■転職後は、転職した旨を金融機関へ報告する

転職によって住宅ローン契約に影響が生じることはありませんが、状況が変わったことは報告しておきます。住宅ローン契約書に、転職時の報告義務が記載されていることも多いです。

また、きちんと報告することで、万が一収入がダウンした場合に、住宅ローンの返済期間や返済額の見直しが相談しやすくなる心理的メリットも生じます。
■自身で収入の増減に応じた返済計画の見直しを行う
転職によって変わるのは収入だけではないでしょう。多かれ少なかれ家計が変化しているはずです。

例えば、年収はアップしたものの「多忙になり、ストレス発散の買い物が増えた」「夫婦のお小遣いを増やした」などの理由で、家計が悪化するケースもあります。

逆に、家計が好転した過程では、好転分を繰り上げ返済して住宅ローンを早く返し終えることも可能です。

「収入」と「支出」、つまり家計全体の変動を踏まえて住宅ローンの返済計画を見直すことで、転職リスクを抑えるだけでなく、好機を見つけることにつながります。
■審査通過後でも融資前の転職は避ける
その条件で審査を通過したのですから、融資実行前に転職(条件変更)するのは避けましょう。

場合によっては条件の虚偽申請になってしまう懸念があります。住宅ローンの融資を受け、返済が始まってからの転職を心掛けましょう。

転職後に住宅ローン審査に臨むメリット・デメリット

続いて、転職後に住宅ローン審査を行う選択肢のメリットとデメリットを見ていきます。

転職後に住宅ローンを組むメリット

転職後に住宅ローンを組むメリットは、返済の安定性が高まると考えられることです。新たな勤務先が決まっているので、新しい勤務条件や家計の変化を織り込んだ住宅ローン返済計画が立てられます。

毎月の家計状況から無理ない借入額を算定することができますし、定年時や退職金などの条件をあらかじめ把握していることもメリットでしょう。

転職後に住宅ローンを組むデメリット

大きなデメリットは、審査が厳しくなること​です。最初の章でお伝えしたとおり、転職は住宅ローン審査にマイナスの影響を与えます。

申し込み条件に勤続年数が設定されている場合、申し込み自体ができません。そのため、検討できる住宅ローンそのものが少なくなってしまいます。

住宅ローンは金融機関ごと、もしくは商品ごとに適用金利や団信の保障内容等(※)が異なります。そのため、基本的には選択できる住宅ローンの数は多いほうがいいでしょう。

※団信(団体信用生命保険)とは住宅ローン契約者に万が一のことがあったときに、住宅ローン残高がゼロになる生命保険。ただし、近年では病気やケガに関しても保証範囲を広げた団信も多数登場している。

転職直後でも住宅ローンが通りやすいケース

勤続年数が短いのは、一般的には住宅ローン審査において不利に働きます。しかし、なかには住宅ローンが通りやすいケースもあるようです。

次のような転職を行ったケースでは、事情を担当者に伝えることで、住宅ローン審査が不利にならないように働きかけることをおすすめします。
・関連会社等への転籍
会社都合による関連会社やグループ会社への転籍は、異動に近い扱いを受けられる可能性があります。ただし、収入が減っているようなケースではマイナス材料になってしまうかもしれません。

・ヘッドハンティングによる転職
ヘッドハンティングは、転職先の企業がご自身の能力や経験を評価した上での転職です。収入面でも優遇される可能性が高いためプラスに評価されやすいです。

・同業の会社へのキャリアアップ転職
キャリアアップのために同業の会社へ転職した場合、それまで培ってきた能力を生かして働くことができ、転職先でも高い評価を得られると考えられます。収入アップや安定した勤務が出来ると判断されやすいでしょう。

・よりよい企業属性の会社へ転職
例えば中小企業から上場企業への転職のように、より安定性が高いとされる企業への転職は好印象を与えやすいです。ただし、前職からの経験を生かせることや、キャリアアップであることなど、未来志向的な転職であることも必要でしょう。

転職後に住宅ローンを組みたい場合の対応策

転職後の住宅ローン審査は全体として厳しい傾向ですが、必ずしもローンが組めないわけではありません。さらに、住宅ローン審査において、審査を通りやすいよう工夫しておくとよいでしょう。

転職後の住宅ローン審査においては、次のような点に留意します。

マイホームの予算を抑える

審査が厳しくなることが予測されるので、借入額を小さくすることを意識します。マンションであれば購入の価格帯を見直す、注文住宅であれば建築費の予算を厳しく設定することなどが該当します。

「予算を抑えると希望するマイホームが手に入らないのでは」と危惧する方は、マイホームにおいて譲れない条件を書き出すことで、予算を押さえつつ満足度の高いマイホーム購入を実現しましょう。

頭金を増やす

頭金を増やすことも、借入額を小さくすることにつながります。自己資金に余裕ある方は、頭金の増額を検討しましょう。

なお、もしもの時の生活防衛費は確保しておきます。一般的には、3カ月~半年程度の生活費が生活防衛費とされます。

借入先の選択肢を増やす

借入先の候補を特定の金融機関だけにしておくと、その金融機関に「勤続年数〇年以上」の条件があった時に行き詰まってしまいます。

最初からいろいろな金融機関を選択肢に入れ、その中で審査が通りそうな金融機関に申し込むのが合理的でしょう。

少し期間を置く

予算は抑えられないし、頭金も増やせない、といった場合は、少し期間を置くことも検討しましょう。特に勤続年数条件が「1年以上」の金融機関であれば、少し期間を置くことで審査が有利に働く可能性があります。

意中の物件が売れてしまう懸念や、金利変動のリスクはありますが、選択肢の一つとして覚えておきましょう。

終わりに|住宅ローン審査前の転職は総合的な判断を

転職したい時期と住宅購入のタイミングが被る場合は、住宅ローンを先にすべきか、転職を先にすべきか迷うところかもしれません。

住宅購入はある程度自分でコントロールできますが、転職は縁や転職先との兼ね合いも生じます。本当なら住宅ローン審査後に転職をしようと思っていたのに、思いがけず転職が決まってしまうといったパターンもあることでしょう。

住宅ローン審査前の転職によって、必ずしも審査落ちするわけではありません。ただ、住宅ローン審査の前の転職はマイナス材料になることがあります。ご自身の転職がキャリアアップに該当するか、未来志向的な転職であるかなどを客観的に判断し、総合的な決断をおこないましょう。
住宅ローンの選び方
おすすめ4社を比較
執筆:横山晴美(ヨコヤマハルミ)

執筆:横山晴美(ヨコヤマハルミ)

執筆:横山晴美(ヨコヤマハルミ)

マネー系・ITに強いライターとして2013年からWEB記事の執筆・編集に携わる。「分かりやすく」「誰のための記事なのか」を見極めることで、精度の高い記事を作成。需要に応じた記事を短期間で書く技術で、年間100本以上の記事に関わる。
保有資格:AFP/ライフプラン応援事務所 代表
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