【FP解説】生命保険料控除の対象者を解説!控除を最大限活用するための方法も紹介
目次
- 生命保険料控除の対象者は保険料を支払った者
- ケース別|生命保険料控除の対象者は誰?
- 夫が妻の分の保険料を支払った場合
- 妻が自身の保険料を支払った場合
- 生命保険料控除の対象となる保険は?
- 新制度の場合
- 旧制度の場合
- 生命保険料控除の控除額は?
- 新制度の場合
- 旧制度の場合
- 生命保険料控除の計算シミュレーション
- 新制度の保険に加入している場合
- 旧制度の保険に加入している場合
- 新制度・旧制度の両方の保険に加入している場合
- 生命保険料控除を最大限に活用するために|注意点2つ
- 1.上限に達したら家族分は受けられない
- 2.生命保険料控除対象外の保険もある
- まとめ|生命保険料控除でゆとりのある家計を実現しよう
そこでこの記事では、生命保険料控除の対象者について解説します。生命保険料控除の対象となる保険や控除額、控除額の計算シミュレーションといった基礎も学べる内容です。控除を最大限に活用するための注意点も知ることで節約ができ、趣味やカフェ活を楽しめるでしょう。
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生命保険料控除の対象者は保険料を支払った者
国税庁は「妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除」にて、以下の見解を示しています。
“Aがその保険料を支払ったことを明らかにした場合は、生命保険料控除の対象として差し支えありません ”
出典元:妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除|国税庁
Aは契約者の夫を指します。要するに「誰が保険料を支払ったかで控除を適用できるか判断している」とのことです。
注意点は、生命保険料控除に必要な生命保険料控除証明書は「契約者名義」で発行される点です。契約者名義のままだと、実際の保険料負担者が支払っていることを証明できないため、保険会社に連絡し、保険料負担者(引き落としの口座名義人)で作成してもらえるか確認しましょう。
ケース別|生命保険料控除の対象者は誰?
夫が妻の分の保険料を支払った場合
具体的には、妻が医療保険に加入し、夫がその医療保険の保険料を払っている場合には、夫が保険料負担者として控除ができます。
これは子どもや親のケースでも同様で、例えば親が契約者として介護保険に加入し、その介護保険料を夫が払っている場合なども当てはまります。
妻が自身の保険料を支払った場合
保険料を支払っているのは妻であり、生命保険料控除を使いたければ妻側で年末調整や確定申告を行う必要があります。
例えば妻ががん保険に契約者として入り、妻自身が保険料を支払っているケースなどです。子どもや親でも考え方は同じです。
ただし妻が夫の扶養になっている場合には、年末調整や確定申告をする機会がないため、そもそも妻は生命保険料控除を利用できません。夫が保険料を支払うといった工夫が必要です。
生命保険料控除の対象となる保険は?
・旧契約...2011年12月31日以前に締結した保険
以下で、対象の保険を具体的に紹介します。
新制度の場合
区分 | 対象となる保険 |
---|---|
新生命保険料控除 | 定期保険、終身保険、学資保険など |
介護医療保険料控除 | 医療保険、がん保険、介護保険など |
新個人年金保険料控除 | 個人年金保険など |
介護医療保険料控除では、入院・通院給付金などが支払われる商品が対象となります。
個人年金保険料控除では「個人年金保険料税制適格特約」が付加された保険のみが当てはまります。
旧制度の場合
区分 | 対象となる保険 |
---|---|
旧生命保険料控除 | 定期保険、終身保険、学資保険、医療保険、がん保険、介護保険など |
旧個人年金保険料控除 | 個人年金保険など |
生命保険料控除の控除額は?
年間の支払い保険料は1月1日〜12月31日までの1年間で払い込んだものを指します。
新制度の場合
【所得税】
年間の支払い保険料 | 控除額 |
---|---|
2万円以下 | 支払い保険料の全額 |
2万円超〜4万円以下 | 支払い保険料×1/2+1万円 |
4万円超〜8万円以下 | 支払い保険料×1/4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
年間の支払い保険料 | 控除額 |
---|---|
1万2,000円以下 | 支払い保険料の全額 |
1万2,000円超〜3万2,000円以下 | 支払い保険料×1/2+6,000円 |
3万2,000円超〜5万6,000円以下 | 支払い保険料×1/4+1万4,000円 |
5万6,000円超 | 一律2万8,000円 |
出典:税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」|生命保険文化センター
旧制度の場合
【所得税】
年間の支払い保険料 | 控除額 |
---|---|
2万5,000円以下 | 支払い保険料の全額 |
2万5,000円超〜5万円以下 | 支払い保険料×1/2+1万2,500円 |
5万円超〜10万円以下 | 支払い保険料×1/4+2万5,000円 |
10万円超 | 一律5万円 |
年間の支払い保険料 | 控除額 |
---|---|
1万5,000円以下 | 支払い保険料の全額 |
1万5,000円超〜4万円以下 | 支払い保険料×1/2+7,500円 |
4万円超〜7万円以下 | 支払い保険料×1/4+1万7,500円 |
7万円超 | 一律3万5,000円 |
新制度と旧制度を両方使う際の上限は、所得税で12万円、住民税で7万円です。
出典:税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」|生命保険文化センター
生命保険料控除の計算シミュレーション
新制度の保険に加入している場合
・医療保険...年間3万円
・個人年金保険...年間12万円
・医療保険(介護医療保険料控除)...3万円×1/2+1万円=2万5,000円
・個人年金保険(新個人年金保険料控除)...一律4万円
住民税の控除額は以下のとおりです。
・医療保険(介護医療保険料控除)...3万円×1/2+6,000円=2万1,000円
・個人年金保険(新個人年金保険料控除)...一律2万8,000円
旧制度の保険に加入している場合
・個人年金保険...年間12万円
・個人年金保険(旧個人年金保険料控除)...一律5万円
そして住民税の控除額は次のように計算します。
・個人年金保険(旧個人年金保険料控除)...一律3万5,000円
新制度・旧制度の両方の保険に加入している場合
それぞれの年間保険料は以下のとおりです。
・医療保険...年間3万円
・個人年金保険...年間120,000円
・医療保険(介護医療保険料控除)...3万円×1/2+1万円=2万5,000円
・個人年金保険(旧個人年金保険料控除)...一律5万円
そして住民税の控除額は次のように求めましょう。
・医療保険(介護医療保険料控除)...3万円×1/2+6,000円=2万1,000円
・個人年金保険(旧個人年金保険料控除)...一律3万5,000円
生命保険料控除を最大限に活用するために|注意点2つ
1.上限に達したら家族分は受けられない
生命保険料控除では所得税と住民税を節税できますが、節税目的で妻や子ども、親の保険に入りすぎないようにしましょう。生命保険は「必要最低限の保障を受けられるか」に着目して、選ぶことが重要です。
2.生命保険料控除対象外の保険もある
・保険期間が5年未満の貯蓄保険
・傷害保険 など
また個人年金保険料控除では以下の条件すべてを満たす必要があります。
・受取人と被保険者が同じ
・保険料払込期間が10年以上
・年金受取開始が60歳以降で、受取期間が10年以上(確定年金や有期年金の場合)
まとめ|生命保険料控除でゆとりのある家計を実現しよう
具体的な節約金額を知りたいときには、保険会社のWEBサイトにある「シミュレーション」を利用してみましょう。「生命保険料控除 計算ツール」と調べると、たくさん出てきます。
執筆:関根菜摘(セキネナツミ)
執筆:関根菜摘(セキネナツミ)
駒澤大学法学部政治学科卒業後、大手生命保険会社の営業職を経て、Webライターとして独立。現在は金融・法律メインのライターとして活動している。得意分野は生命保険と相続。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP
https://www.natsumi-sekine.com/
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