公務員もiDeCoに加入した方がいい?メリットやデメリット、老後資金のシミュレーションも解説
自営業や会社員に比べて安定していると言われる公務員。一方で、以前に比べて受け取れる年金額や退職金が減ってきているため、老後が不安という人もいるでしょう。実際、公務員が老後に備えてiDeCoに加入するケースが増えています。
この記事では、公務員でもiDeCoに入るべき理由や、公務員がiDeCoに入る場合のメリット・デメリットについて解説。どのくらいの資産が形成できて、節税効果がどれくらいあるのかについて、シミュレーションも行っています。
公務員だからといって、老後の生活を楽観視するのは危険ですよ。ぜひ最後まで読んでいただき、余裕がなくて苦しい老後を迎えないように、今からできることを始めていきましょう。
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「マネーの研究室」は、投資や資産運用に関する情報を提供するウェブサイトで、初心者から上級者まで幅広い層の投資家に向けて、役立つコンテンツを発信しています。このメディアでは、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を活用した投資方法に関する情報が豊富です。 また、投資信託、ETF(上場投資信託)、高配当株などの金融商品を比較・分析し、それぞれのメリットやデメリットをわかりやすく解説しています。さらに、サイト内では、実際の投資実績の公開やリスク管理、資産形成に役立つ具体的な戦略の提案も行っており、読者が最適な投資判断を行うためのサポートをしています。
公務員でもiDeCoに加入すべき!2つの理由を解説
老後は安泰と言われてきた公務員ですが、なぜiDeCoに入る必要があるのでしょうか。
理由は以下の2つです。
・退職金の金額が低下しているから
年金制度の改定により老後の年金額が減少したから
制度が改定されるまでの公務員の年金は、国民全員が入る「基礎年金」と、公務員独自の年金制度であった「共済年金」で構成されていました。
「共済年金」は、会社員が入る「厚生年金」に比べて保険料率が低いことに加え、「職域加算」と呼ばれる仕組みでお得に老後資金を形成できる点がメリットでした。
しかし公務員が受け取る年金額が、民間企業の社員などに比べて多いことが問題視され、制度改定で「共済年金」は「厚生年金」に一元化。これで公務員は、低い保険料率や「職域加算」といった「共済年金」のメリットが受けられなくなり、将来受け取る年金額も減少したのです。
共済年金がなくなったことで、公務員だから老後は安泰とは言えないでしょう。iDeCoなどの制度を活用しながら、自分で老後資金を作ることが重要です。
退職金の金額が低下しているから
以下の表は、地方公務員と国家公務員が定年退職した場合の退職金(平均額)の推移をまとめたものです。
公務員の定年退職金(平均額)
年度 | 地方公務員 | 国家公務員 |
---|---|---|
平成30年(2018年) | 2213.7万円 | 2068.0万円 |
令和元年(2019年) | 2188.6万円 | 2090.6万円 |
令和2年(2020年) | 2189.3万円 | 2142.1万円 |
令和3年(2021年) | 2184.3万円 | 2106.4万円 |
令和4年(2022年) | 2185.3万円 | 2112.2万円 |
一方で、地方公務員の平成24年度定年退職金額は2643.3万円だったため、10年間で見ると約450万円も減少していることがわかります。この減少傾向は、国家公務員も同様です。
また、会社員の退職金も減少傾向にあるため、公務員の退職金もさらに減ることが予想されます。受け取れる年金額の減少、そして退職金も減っていることから、公務員の老後資金はこれまでのように余裕があるとは言えないでしょう。
これが、公務員でもiDeCoに加入して老後に備えるべき理由の1つです。
情報元:総務省「地方公務員給与実態調査」
情報元:内閣官房「退職手当の支給状況」
公務員のiDeCo加入者は年々増加している
このように老後資金についての不安が増すなか、公務員のiDeCo加入者は年々増加しています。具体的には、2019年6月は約296,000人だった加入者が、2023年11月には約637,000人に増加。これは、公務員の約5人に1人が加入している計算になります。
公務員でも、老後の生活を見据えてiDeCoに加入する人が増えているようです。
情報元:iDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2023年11月)」
公務員がiDeCoに加入するメリット
・運用益が非課税となる
・受け取る際も控除を受けられる
所得税・住民税の負担を軽減できる
iDeCoの掛金は、全額が所得控除されます。公務員の掛金上限額は月12,000円なので、最大で年間144,000円を所得額から控除可能です。
これにより所得税や住民税の負担を減らせることが、iDeCoの大きなメリットと言えます。
運用益が非課税となる
通常、株式や投資信託などによる運用益には20.315%の税金がかかります。せっかく出した利益にも関わらず、約5分の1を税金として納めなければならないのです。
一方で、iDeCoの運用益には税金がかからないため、利益の全額を手元に残せます。老後に向けて長期的に運用していくiDeCoにおいて、運用益の非課税は得られる効果の大きなメリットです。
受け取る際も控除を受けられる
iDeCoには、主に3通りの受け取り方法があります。
・一時金として受け取る方法
・上記2通りの併用
具体的には、基礎年金のように受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」が適用されます。
受け取る金額によって控除額が変わる点には注意が必要ですが、受け取る金額への税負担が抑えられることは、iDeCoの特徴の1つです。
公務員がiDeCoに加入するデメリット
・原則として60歳まで引き出せない
公務員は掛金の上限が低い
iDeCoの掛金の上限額は、自営業者が月68,000円、会社員などが月23,000円なのに対し、公務員は月12,000円です。掛金が低いと大きな運用益は期待できず、節税効果も限定的になります。
ただしiDeCoでの運用は、普通預金で預けておくよりメリットが大きいのは確かです。
また、2024年12月には公務員の掛金上限額が20,000円に上がる予定のため、より大きな運用益や節税効果を狙えるようになるでしょう。
原則として60歳まで引き出せない
iDeCoが個人で老後の資金を積み立てることを目的につくられた制度だからです。60歳を迎えるまでには、結婚や出産・子育てなどさまざまなライフイベントでお金が必要になります。
そのようなときに手持ちが足りないからといって、iDeCoの積立金を使うことはできません。iDeCoの運用は、必ず余剰資金で行いましょう。
公務員がiDeCoに加入した場合につくれる資産と節税効果
資産形成と節税効果について、シミュレーションしてみました。
資産形成のシミュレーション
前提条件及び利回り別の形成資産額は以下の通りです。
【前提条件】
年収:450万円
掛金額:月12,000円(上限額)
利回り:1〜5%
利回り | 積立元金 | 運用益 | 合計額(積立元金+運用益) |
---|---|---|---|
1% | 5,040,000円 | 991,595円 | 6,031,595円 |
3% | 3,858,764円 | 8,898,764円 | |
5% | 8,593,109円 | 13,633,109円 |
利回り1%でも、約100万円の運用益が期待できます。また5%の利回りを想定した場合、積立元金と運用益の合計額は1千万円を超える試算です。
節税効果のシミュレーション
前提条件は以下の通り。形成資産のシミュレーション時と同様です。
また、利回り別の節税額は下表の通り。
【前提条件】
年収:450万円
掛金額:月12,000円(上限額)
利回り:1〜5%
利回り | 積立時の節税額 | 運用時の節税額 | 合計額(積立時の節税額+運用時の節税額) |
---|---|---|---|
1% | 1,008,000円 | 198,319円 | 1,206,319円 |
3% | 771,753円 | 1,779,753円 | |
5% | 1,718,622円 | 2,726,622円 |
5%の利回りでは、運用時の節税額は170万円以上。1%の利回りでも、合計節税額は100万円を超える試算です。
終わりに|公務員もiDeCoを始めよう
「老後は安泰」とされてきた公務員でも、受け取れる年金額や退職金額が下がっていることから、状況は苦しくなっています。年金や退職金はさらに減る可能性もあることから、自分で老後を見据えて資産形成に取り組むことが重要でしょう。
その際におすすめなのがiDeCoです。iDeCoは節税効果も高く、効率的に老後資金を積み立てられます。
副業が禁止されている公務員だからこそiDeCoを活用して、老後のゆとりある暮らしを叶えましょう。
執筆:@nextマガジン編集部
執筆:@nextマガジン編集部
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