生命保険は県民共済がコスパ良いって本当?民間の生命保険との違いについて解説
共済保険と聞くと、子どもの保険で有名なコープ共済や自動車事故のリスクへの保障で有名なJAの自動車共済などを思い浮かべる方も多いと思います。
そんな共済保険ですが、最近は民間の医療保険・死亡保険の代わりに活用する方が増えています。「少ない掛け金で幅広い保障」という理念も浸透し、全国的に人気が高まっています。
「安価な保険料で入れる生命保険はないかな」「民間の生命保険と何が違うんだろう?」と考えている方に向けて、本コラムでは県民共済と民間の生命保険との違いやメリット・デメリットをお伝えします。
県民共済とは?
加入件数の推移はグラフの通りです。年々人気が高まっている事がわかりますね。
基本コース | 新規加入数 | 当年度末加入数 |
---|---|---|
子ども型 | 240,298 | 2,401,212 |
総合・入院保障型 | 579,330 | 10,826,449 |
熟年・熟年入院型 | 42,017 | 5,197,759 |
新型火災共済 | 135,441 | 3,408,734 |
傷害保障型共済 | 12,969 | 48,106 |
傷害共済 | - | 26,983 |
合計 | 1,010,055 | 21,909,243 |
都道府県民共済は、都道府県ごとに運営されている保険事業です。
「小さな掛金で大きな保障」を使命に掲げ、2023年3月末時点で全国で2,190万件、都民共済で215万件の加入実績があります。
民間の生命保険との違い
さらに、県民共済は民間の生命保険と違い組合員しか利用できません。共済に加入するには掛け金(保険料)のほかに組合員になるための出資金(都民共済は200円)を払う必要があります。
県民共済の特徴
県民共済の運営は都道府県ごとに分かれています。
基本的な商品内容は同じですが、都道府県によって多少異なります。
各共済団体によって取り扱っている商品はさまざまです。県民共済は「生命共済」「障害保障型共済」「火災共済」などを販売しています。
県民共済で取り扱う生命共済の保障内容や保険期間、掛け金や加入年齢について詳しく見ていきましょう。
保障内容
・こども型=0歳~17歳
・総合保障型、入院保障型=満18歳~満64歳
・熟年型、熟年入院型=満65歳~満69歳
それぞれのコースで掛け金(保険金)や受け取れる金額が異なります。
保険期間
・0歳〜17歳
・18歳〜64歳
・65歳〜85歳
年齢区分が変わるタイミングで自動的に保障内容のコースが変わるため、自分に合った保障内容か定期的にチェックする必要があります。
掛金・加入可能年齢
こども型
月額1,000円と月額2,000円
総合保障型と入院保障型
月額2,000円のみ
熟年型
月額2,000円と月額4,000円のみ
熟年入院型
月額2,000円のみ
ポイントは、コースを変更しない限り年齢や性別、健康状態によって保険料が変わらない点です。
県民共済に加入できる年齢は、0歳〜69歳までとなっています。保険期間は85歳までありますが、70歳以上の方は新規加入することができないため注意が必要です。
申告について
ただし、民間保険よりも審査基準がやや易しいためいくつかの質問事項に答えるだけで医師の審査などは必要ありません。
持病や入院・通院歴がある方も入りやすい保険となっています。
県民共済のコースについて
こども型
病気やケガによる入院や手術はもちろん、第三者への損害賠償や契約者(両親)の死亡保障など子どもならではの保険内容になっています。
保障内容 | こども1型 掛け金:1,000円
|
こども2型 掛け金:2,000円
|
---|---|---|
病気入院 | 5,000円/1日あたり | 10,000円/1日あたり |
ケガの通院 | 2,000円/1日あたり | 4,000円/1日あたり |
第三者への損害賠償 | 100万円(1事故の上限) | 200万円(1事故の上限) |
こども型は17歳までが対象のため、18歳以降は医療保障がメインの「入院保障型」にするのか、死亡保障が手厚い「総合保障型」にするのか検討しましょう。
また、どちらの子ども型に入ればいいか迷ったときはお住いの自治体の「こども医療費助成制度」の負担額を考慮し、第三者への損害賠償額や両親に万が一のことが起きたときの必要金額に応じて選ぶのがおススメです。
総合保障型
総合保障型のメリットは、長期入院時も共済金(保険金)が受け取れる点です。通常の医療保険では1回の入院で60日が基本ですが、総合保障型は病気で124日、ケガで184日が設定されています。
保障内容 | 総合保障1型掛け金:1,000円 | 総合保障2型掛け金:2,000円 | 総合保障4型掛け金:4,000円 |
---|---|---|---|
病気入院 | 2,250円/1日あたり | 4,500円/1日あたり | 9,000円/1日あたり |
病気死亡 | 200万円 | 400万円 | 800万円 |
熟年型
保障内容 | 熟年2型掛け金:2,000円 | 熟年4型掛け金:4,000円 |
---|---|---|
病気入院 | 2,250円/1日あたり | 5,000円/1日あたり |
病気死亡 | 100万円 | 200万円 |
熟年型は、総合保障型で保障されている通院保障がありません。
また、年齢区分が3つに分かれており、段階的に保障額が少なくなっていきます。
民間の生命保険のように一生涯の保障を希望する場合は、注意が必要です。
県民共済のメリット
・掛け金(保険料)が安い
・医療保障と死亡保障のバランスが良い
・保障内容がシンプルで選びやすい
・持病があっても入りやすい
県民共済は非営利団体のため、幅広い加入者を対象としています。そのため、持病や通院歴がある方や、民間の生命保険より毎月の支払いを安くし最低限の保障がほしい方に向いています。
これまで民間の生命・医療保険に加入できなかった方も一度相談してみるといいかもしれませんね。
それぞれのメリットを見ていきましょう。
掛金が割安
民間の生命保険の場合は、一般的に年齢を重ねて保険を更新するたびに月々の保険料も高額になります。
しかし県民共済は年齢が上がっても掛け金(保険料)が値上げすることはありません。
また、県民共済も「生命保険料控除」を活用して支払った掛け金(保険金)分を節税することができます。
がん特約や三大疾病特約、介護特約などのオプションも控除の対象となるため、手続きすれば所得税や住民税が減税されます。
保障バランスが良い
民間の生命保険だと、医療保険と生命保険それぞれに加入するか特約で保障を上乗せする必要があり保険料も上がってしまいます。県民共済の場合は最初からセットになっているため、両方のリスクをまとめてカバーする事ができます。
シンプルなコースでわかりやすい
ただし、県民共済は医療保障と死亡保障がセットになっているコースが多く、それぞれ別々に加入する事ができない点は注意が必要です。
持病・入院歴があっても加入しやすい
県民共済は、簡易的な質問に答える形で比較的審査も緩いため、持病・入院歴があっても加入しやすくなっています。
県民共済のデメリット
・保険金や条件などオリジナルの保障内容は作りづらい
・死亡保障が少ない
・85歳で満期を迎えるため、一生涯の保障がない
・年齢が上がるにつれて少しずつ保障が少なくなる
好きな保障がつくりにくい
ところが、県民共済の場合はあらかじめ年齢区分や保障内容が決まっているため、自分の希望やライフプランを反映した好きな保障が作りにくいというデメリットがあります。
死亡保障が少ない
例えば、かながわ県民共済のように死亡した時に受け取る保険金を増額するための特約が充実している団体もありますが、都民共済はがんや長期入院など医療面の特約しかありません。
死亡保障が少ない点は県民共済のデメリットです。家族のために保障内容を充実させたい方は民間保険もあわせて活用しましょう。
一生涯の保障がない
85歳以降に病気やケガで通院・死亡しても保障はないため、一生涯の備えがほしい方は慎重に検討しましょう。
高齢時の保障が少なくなる
年齢を重ねるごとに病気・ケガ、死亡のリスクは高まるため、肝心な時に少ない保障しか受けられないということも考えられます。
月々1,000円〜1,200円をプラスして特約を付けることで、入院1日あたりの給付金やがんと診断された時の一時金を増額する事もできるため不安な方は特約の追加を検討しましょう。
より老後の保障をしっかり確保して安心したい方は、民間保険でカバーすることをオススメします。
まずは必要保障額を知ることから!
毎月の固定費が安い保険は確かに魅力的ですが、1番大切なのは自分や家族に必要な保障内容になっているかです。予想外の病気・怪我による治療は精神的にも弱ってしまいますし、自分や家族が亡くなった時は誰でもその後の生活が不安です。
そんな時に経済的な支えがあれば治療に専念できますし、残された家族の苦労も和らげる事ができますよね。
もう1つ大切な考え方があります。それは、事前に必要保障額を算出しておく事です。
生命保険は人生の一大事を助けてくれる商品です。そのため、万が一の時に自分や家族にいくら保険金が必要なのかシミュレーションすることをオススメします。
生命保険について分かりやすく解説したコラムはこちらです。県民共済・生命保険の特徴を理解し、自分に合った保険を探してみてくださいね。
@nextマガジン編集部
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お金に関する基本的な知識から貯金のコツ、資産形成まで幅広く伝えるメディア「@nextマガジン」の運営を行っています。ここにくれば、お金の悩みが解決できる「お金の広辞苑」を目指して日々記事を公開中です。本当にタメになる情報だけを厳選してお届けします。
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