FXの仕組みはどうなっている?証拠金や利益の種類などの基礎知識を解説
FXは通貨を売買する取引ですが、証拠金による差金決済という特色のある仕組みがあります。そのため、始めるにあたって仕組みや特徴への理解が必要です。この記事では、FXの基本的な仕組みやよく出てくる用語の意味を解説します。まずは基本的な内容を押さえて、取引を始められるようにしましょう。
FXの基本的な仕組み
通貨ペアと為替レート
通貨ペアの左側の通貨を「基軸通貨」、右側の通貨を「決済通貨」といいます。「USD/JPY」であれば、米ドルが基軸通貨で日本円が決済通貨です。FXでは決済通貨が取引の主体となり、売買とは基軸通貨を売るか買うかを意味します。「USD/JPY」の「買い」とは、「日本円を売って米ドルを買う」という意味です。
FXでは取引量が多い通貨をメジャー通貨、取引量が少ない通貨をマイナー通貨といいます。一般的には以下のように分類されています。
メジャー通貨 | 米ドル、ユーロ、ポンド、日本円、豪ドルなど |
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マイナー通貨 | トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドなど |
FXで少額取引を可能にする「レバレッジ」
たとえば、25倍のレバレッジをかけると、自分の持っている資金の25倍までの通貨を売買できます。つまり、1ロットの米ドル/円を取引する場合でも、140万円ではなく5万6,000円(140万円÷25)だけ用意すればよいのです。
このように、FXではレバレッジの活用で少額の資金でも大きな取引ができるようになります。
レバレッジをかける
レバレッジを使うと、少ない資金で大きな利益を得られる可能性がありますが、損失も大きくなる可能性があるため、注意が必要です。
証拠金を差し入れる
日本では証拠金の25倍 までの取引が認められています。たとえば、1米ドル100円のレートで1万ドルを買いたい場合、証拠金は最低4万円必要となるわけです。
差金決済では取引の損益のみを支払い、現物の通貨を受け渡しません。
たとえば、1米ドル100円のレートで1万ドルを買った後、1ドル110円のレートで売却したとします。その場合、1万ドル分の差額である10万円の利益を受け取ります。反対に10万円の損失が発生した場合は、証拠金から損失分が差し引かれる仕組みです。
差金決済によって、少ない資金で大きな利益を得られる可能性があります。しかし、損失も大きくなる可能性があるため、リスクを理解した上で取引することが重要です。
FXの取引時間
シドニー市場:5時~15時
東京市場: 8時~17時
ロンドン市場:17時~2時
ニューヨーク市場:22時~5時
売りから取引できる
FXのポジション(通貨を購入して決済せずに保有している状態)には、買いと売りの2種類があります。
FXで利益を得る2つの方法と仕組み
- 為替差益:通貨ペアのレート変動による利益
- スワップポイント:2つの通貨の金利差による利益
為替差益
為替差益は短期間で大きな利益を得られる可能性がありますが、レートが反対方向に動くと損失を被るリスクもあります。
スワップポイント
たとえば、金利の高い米ドルを買って、金利の低い日本円を売った場合、金利差によって毎日スワップポイントを受け取れます。逆に金利の低い日本円を買って、金利の高い米ドルを売った場合、毎日スワップポイントを支払うことになる点に注意が必要です(マイナススワップ)。
スワップポイントはデイトレードのような短時間の取引には関係ありませんが、長期保有には影響があります。特にマイナススワップでの長期保有には注意しましょう。
FXの基本的なリスク
為替変動リスク
為替変動リスクを軽減するには、以下の方法があります。
- リスク管理を徹底する:レバレッジを適切なレベルに設定する、損切り注文を活用するなど
- 経済指標や政治情勢を常に把握する:為替レートに影響を与える要因を理解する
- 分散投資を行う:複数の通貨ペアに投資することで、リスクを分散する
金利変動リスク
2国間の通貨取引では金利の高い通貨が買われやすく、金利の低い通貨は売られる傾向があります。たとえば、米ドルと日本円であれば政策金利の高い米ドルが買われ、低金利の日本円が売られやすくなるのです。その結果、円安ドル高になりやすくなります。
また、2国間の金利差が拡大するとスワップポイントも大きくなります。米ドル/日本円の買いポジションを持っていて米国の政策金利が高くなると、スワップポイントの増加が期待できるのです。逆に売りポジションを持っている場合、マイナススワップが拡大するおそれがあります。
金利変動リスクの対策として、各国の金利政策に関するニュースのチェックが必要です。
レバレッジのリスク
たとえば、取引金額100万円の場合でも10倍のレバレッジをかけると、証拠金10万円で取引が可能です。ただしこのケースで米ドル円の通貨ペアでドルを買い、1円値下がりすると1万円の損失が発生します。この場合、レバレッジ1倍であれば資金100万円に対して1万円の損失です。
一方、レバレッジ10倍では10万円に対して1万円の損失と、資金に対する損失割合が高くなる点に注意が必要です。
レバレッジは手元資金が少ない人でも取引できるFXの魅力ですが、高すぎると取引リスクも高まります。適切なレバレッジ設定を心がけましょう。
スリッページ
たとえば、1米ドル140円のレートで買い注文を出したのに、スリッページによって1米ドル140.5円で約定するようなケースが該当します。この場合、数量が1万通貨であれば想定よりも5,000円多く支払うことになるのです。
損失を拡大させないロスカットとは
ロスカットは証拠金維持率をもとに判定し、「純資産 ÷ 必要証拠金 × 100」の計算式で求めます。
証拠金維持率がFX会社の定める水準(多くの場合50%または100%)を下回ると、ロスカットが発動します。ロスカットされると保有しているポジションが強制的に決済され、損失が確定するわけです。
ロスカットを避けるためには、以下の方法が挙げられます。
- 証拠金維持率に注意する:証拠金維持率が低下している場合は、追加資金を投入するか、ポジションの一部を決済する
- レバレッジを低く設定する:レバレッジが低いほど必要証拠金が少なくなり、ロスカットが発生しにくくなる
- リスク管理を徹底する:損切り注文を活用するなどリスクを管理する
まとめ:基本的な仕組みを理解して取引を始めましょう
また、最初から大きな利益を狙ってレバレッジを高くするのは危険です。まずはレバレッジ3倍以内で始めるようにしましょう。
松田聡子(マツダサトコ)
松田聡子(マツダサトコ)
明治大学卒業。金融ソフトウェア開発、国内生命保険会社の法人営業を経て、独立系FPとして開業。個人や法人オーナーへのコンサル業務、セミナー講師の他、現役FPの知見を生かした執筆業務を行っている。
保有資格:CFP®・DCアドバイザー・証券外務員二種/群馬FP事務所代表
https://gunmaf.net/gunmafp
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